「社員合宿を開催したいけれど企画が大変そう…」「参加者の満足度を高めるにはどうすればよいの?」コワーケーション.comには、日々経営層や企業内の担当者の方からこのようなご相談を多くいただきます。

そこで今回は、これまでに「沈黙のワーケーション合宿」「自己選択型のプログラム合宿」などユニークなコンセプトの合宿を開催してきたIT企業・ガイアックスに直撃。企画の秘訣や運営のポイント、実施効果など、合宿にまつわるあれこれを仕掛け人の木村智浩さんに指南いただきました。

前編では、ガイアックスが考える合宿の目的や、参加者から好評だったという「自己選択型」プログラムの全貌に迫ります。

*プロに学ぶ:後編「コロナ禍でも社員合宿を諦めない。「沈黙のワーケーション合宿」の全貌」はこちら

▼お話を聞いた人

ガイアックス ブランド推進室・社内行事担当 木村智浩さん/
2004年4月にガイアックスに新卒入社。営業、新卒採用、経営企画などを経て、企業向けSNS事業を立ち上げ国内シェアNo.1を獲得。現在はチーフカルチャーオフィサーを務め、全社合宿の企画・運営も行っている。

「自律分散型」の組織に必要な2つの要素とは?

──まず、ガイアックスという会社について教えてください。

ガイアックスは「Empowering the people to connect 〜人と人をつなげる」をミッションに、1999年に創業したスタートアップスタジオです。企業や自治体に向けたソーシャルメディアサービス事業、CtoCのシェアリングエコノミー事業、ワークスタイル領域事業などを行っています。
組織のスタイルとしては、『ティール組織』と言われるような自律分散型のフラット組織であることが大きな特徴です。社員一人ひとりが社会の問題を自分ごととして捉え、社内リソースを使って新事業を創造していく会社を目指しています。

──ガイアックスでは、全社員や関係者が集まる1泊2日の合宿を年1回開催していますよね。合宿の目的を教えてください。

自律分散型の組織では、「自主性」と「関係性」が鍵になります。
“単に仕事だから”という考えで働くのではなく、自分の人生をどうしたいかを描き、自分らしく生きるとはどういうことかを理解した上で、そのために働いたり学んだりしていくという自主性。また、相手のことをよく知り、心理的安全性がある状態でコミュニケーションがとれる良好な関係性。そういったことを育み深める一つの大きな場として、合宿を開催しています。

──ガイアックスの合宿は、組織規模や時代の流れを受けながら“進化”してきたと聞きました。

僕が入社した2004年頃の合宿は、いわゆるオフサイトミーティングのような色合いが強く、戦略の見直しや経営方針を決めるような内容に重きが置かれていたように思います。
ただ、そんな中でも、1泊2日のうち後半の1日は「一人ひとりのことを知る」ことを目的に、個々のライフプランを共有し合うような時間がありました。

組織だんだんと大きくなってくると、戦略などは事業部単位で決めるため、全社で集まる合宿の目的や内容も変化してきました。最近では、会社のカルチャーや「その人らしさ」を共有し、深める場として合宿を行っています。

「コンテンツのビュッフェスタイル」という新しい合宿のカタチ

──これまでさまざまな合宿を企画してきて、ターニングポイントになったのはどんな合宿ですか?

参加者の満足度も高く、合宿のあり方に大きな変化があったのは2019年に開催した「自己選択型」のプログラムを取り入れた合宿です。

コロナ前の2019年合宿のコンセプトは、「自然にもどって、地球とつながろう。自分の限界、常識、思い込みを超えて、自分と他人の境界を超えよう」。自然あふれる軽井沢のアウトドア施設で1泊2日の合宿を行った。(提供:ガイアックス)

2日間のうち全員で参加するコンテンツは半分未満にして、残りの半分以上は「マインドフル鬼ごっこ」「トレイルラン」「焚き火ダイアログ」など、社員や関係者が講師となるワークショップやアクティビティを用意し、自由に選んで参加してもらう形を取りました。

合宿1日目のスケジュール。青色が全員で参加するもの、オレンジが自分で選んで参加するもの。(提供:ガイアックス)
合宿2日目の朝には、社長の上田さんが主催するトレイルランのアクティビティも。
(提供:ガイアックス)

──コンテンツが「自己選択型」というのは面白いですね! そのような仕組みを取り入れた理由は?

多くの社内イベント担当の方が悩むのは、“どうやって参加者の満足度を上げるか”だと思います。
参加者の中には、合宿みたいなイベントごとが好きな人もいれば、当然苦手な人もいる。開催後に全体アンケートで満足度をとると、満足している人もそうじゃない人もいて、平均すると“まあまあ満足した”のようなつまらない結果に落ち着きがち……。でもそもそも、みんなで同じプログラムを受けて全員が楽しいと感じるなんて、あり得ないというのが何度か合宿を開催してみて思ったことでした。

そこで2019年の合宿では、徹底的な選択性を導入。やってみて何がよかったかというと、参加者の満足度は上がり、運営コストは下がるという一石二鳥の効果があったことです。

選択性にするとプログラムの数自体は増えるので、その分企画運営の労力もかかるのでは、と思われるかもしれません。でも僕たちはプログラムを募集型にして、手をあげてくれた人に各プログラムの運営を任せる形にしたことで、むしろ運営側の負担は減りました。

──コンテンツを社員から募集して、運営を任せてしまう。あたらしい形ですね。
 
はい。実際に社内でコンテンツを募集してみると、アスレティックトレーナーや料理が得意な人などがいて、こんなことができるとさまざまな声が上がりました。
合宿を企画運営していて思うのは、どれだけ「民主的な運営ができるか」が満足度や成功の可否を握るということ。誰も強制的な場には参加したくないですよね。
2019年の合宿では、全体企画者は骨組みだけつくって、あとは各自に任せる形にすることで全体がうまく回った気がします。このような“全員参加型合宿”や“コンテンツのビュッフェスタイル”は海外の研修などでも取り入れられていて、これからもっとトレンドになっていくと思いますね。


会社規模や社会の流れとともに合宿を進化させてきたガイアックス。
後編では、コロナ禍に開催した「沈黙のワーケーション合宿」、そして合宿開催のメリットなどを伺います。

*プロに学ぶ:後編「コロナ禍でも社員合宿を諦めない。「沈黙のワーケーション合宿」の全貌」はこちら

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